軍隊の鉄則!

 日本がなぜ太平洋戦争に突入していったのか?この非常に重要なことについて、自分はほとんど知識がない。時間を掛けて勉強する価値があると思い色々な本を読んでいる。1年や2年で終わるような簡単なテーマではないので、まだ出だしだが、旧日本軍が客観的なデータを基に動く組織ではなかった事と統制が取れた組織ではなかったことは理解できた。

 誰だったかが本の中で皮肉って旧日本軍には民主主義があったと書いていたが、正に旧日本軍の大きな欠点としてこの軍隊の民主主義を上げることができる。民主主義は良いこととされているが、軍隊に民主主義は不要である。特にアメリカやイギリスの軍隊は大統領または首相を頂点に意思決定及び指示命令系統が徹底していたようである。一方、旧日本軍はどうであったか。中国満州において政府や軍中央部の意志に背いて勝手に軍隊を動かした関東軍帝国陸軍の派閥である皇道派の影響を受けた青年将校らが勝手に軍を動かした二・二六事件帝国海軍の青年将校たちが首相官邸に突入して、犬養首相を暗殺した五・一五事件

 軍の中での派閥、下克上を許した民主的な旧日本軍将校クラスの統制も取れない旧日本軍。要するに旧日本軍とは、意思決定も指示命令系統も非常にいい加減な組織であったと言わざるをえない。

 また、アメリカ軍は作戦に失敗した将校はどんどん罷免して責任を取らせているのに対し、旧日本軍は罷免して責任を取らせるようなことをあまりしない仲良しクラブなのである。さらに悪いのは仲良しクラブは陸軍、海軍のそれぞれの内部における話であり、敗戦を迎えるまで陸軍と海軍はそれぞれの利益を最優先する分裂した組織であった。旧陸軍と海軍はアメリカ軍に勝つよりも日本国内でより優位に立つことを最優先したのである。

 11日付朝日新聞社会面に『「信頼して」では同盟維持できぬ』、『日米の共同訓練1等陸佐が発言』の記事。記事を抜粋する。『陸上自衛隊の王城寺原演習場(宮城県)で10日から始まった陸自と米陸軍との共同訓練の開始式で、陸自側の代表として訓示した陸自第44普通科連帯長の中沢剛・1等陸佐が「同盟関係は『信頼してくれ』などという言葉で維持されるものではない」と発言していたことが、防衛省への取材で分かった。』
 記事はさらに陸上幕僚幹部広報室によるものとして、中沢一佐は『鳩山総理を含め特定の政治家や政治家の発言を引用したり、批判したりしようとしたわけでなく、訓練を通じて現場の信頼関係を築くことの重要性を説いたつもりだ』と説明しているという。

 こういう旧軍隊で言えば大佐クラスの指揮官が、自衛隊の最高指揮者である首相を部下の前で公式に批判するような民主主義を許してはならないのである。それを許すと旧日本軍と同じ体質に戻るのである。
 いや、自衛隊は旧日本軍の体質をそのまま受け継いでいるから、今回の事態は当たり前のことかもしれない。

 航空幕僚長であった田母神俊雄は、論文で政府見解や村山談話と異なる主張を発表したことなどが問題視されて罷免された。この時、田母神は日本には民主主義はないのか、みたいなことを言っていたが、あんたは何も分かっていない。軍隊、特に幹部に民主主義はあってはならないのである。

 自衛隊が民主国家の軍隊であるなら、中沢一佐は直ちに首にするか、平に降格すべきである仲良しクラブでない規律正しい組織であるなら首にすべきである
 これは皮肉であるが、公立学校の教員が授業中、それも父兄参観の日に校長批判や教育委員会批判をしたらその教員を首にするであろう。それと一緒なのである。これで全く処分無しなら自衛隊も民主党政府も駄目組織である。

(2010年2月11日 記)

 この随筆を書いた後、マスコミは本件を文民統制違反と報道していた。文民統制違反と言えばそうであるが、問題の本質はもっと大きいマスコミの批判力、本質を見る能力が格段に落ちていると感じる。こういう問題が起こると単に「文民統制に反する」とお経のように唱えれば良いと思っているのではないか?
 14日、朝日新聞朝刊社会面に北沢防衛相が本件について13日次のように厳しく批判したと言う。『クーデターにつながる極めて危険な思想だ』、『(こうした行為で)規律が乱れ、組織が機能しなくなると、独断専行や下克上が起こる
 北沢防衛相の指摘は、極めてよく今回の問題の本質を捉えている。しかし、聞き捨てならない記事が載っている。『防衛省はすでに連隊長を注意処分としている』。注意処分?これが私が仲良しクラブという意味なのだ。『クーデターにつながる』と言いながら注意処分のみ。要するに事の重大性と処分内容が一致していないではないか。これでは旧日本軍と一緒なのである。何ら歴史から学ぼうとしない民主党か。情けない。

 誤解のないように言っておくが、私は自衛隊と言う軍隊を認めているわけではない。そもそも仏教徒は人を殺すことは禁じられている。多分、今の自衛隊なら東京のど真ん中にミサイルをぶち込まれても、それがミサイルだったと確認できるまでに数時間を要するのではないか。1976年にソ連のベレンコ中尉が亡命目的でミグ25戦闘機で函館空港に強行着陸したが、自衛隊は何もできなかった間抜けで弛んだ旧日本軍と同体質の軍隊なのである。その証拠に未だにいじめや自殺が絶えないではないか。旧日本軍のビンタや拳骨制裁などの陰湿ないじめ体質を引きずり、幹部連中の間では民主主義と仲良しクラブ体質を受け継いだか

(2010年2月14日 追記)

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